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送信から一時間ほど経った頃、窓ふきをしているとスマートフォンが短く鳴った。手を止めて確認をすると、彼から「いる」という返信が来ていた。
探してこそいなかったけど、見つかったのは嬉しいという。この土日のどちらかで受け取りに行きたいと書かれていた。
出来ることはすぐに終わらせたいのだろう。仕事が見つかるまで時間がかかったものの、彼は基本的にはやるべきことは手早く片付ける性格だ。
対して、私は段取りを整えるまでに時間がかかる。同居する間に彼から少しは学んだはずがもう忘れている。
どうしてそうなるのかと自分に呆れながら、「この土日は予定がないからいつ来ても良い」と返した。
その直後、OKの赤文字と「14時頃に」の後にスマイリーマークが送られてきた。
私が送った物とは正反対。やはり性格自体が正反対で、それでバランスが取れていたのだろう。
辰也が戻ってくれば、またバランスを取り戻せるのか。などとスマートフォンを持ったまま考える。
自分で自分のことが分からない。情けなさと掃除疲れで足が自然とベッドへと向かった。そのまま寝転がり、逃げるように目を閉じた。
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