2.

1/3
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ

2.

 その後ゴミを回収日に合わせて出す、不要な服を売りに行くなどして部屋を徹底して片付けた。  ここまで時間がかかったのは、就職とともに引っ越してきて二年間ずっと大掃除をしないまま過ごしてきたせいだ。  この先は小まめにやる習慣をつけたい。けど、それはただの理想だ。結局は年末前に時間を作るかやらないかになるだろう。  年末まではまだ半年以上あるし、とにかくいまから一週間は空けたい。部屋が綺麗に片付いた割には解放感がなくて、疲れのほうが勝っていた。  いまはリビングでコーヒーを片手に辰也の到着を待っている。テーブルに開いている求人誌をぼんやりと眺めているけど、あくまで参考だ。  動くのはある程度形が見えてから。まずは辰也に話を聞きたい。  彼は目標を見つけて出て行った。私はここを離れる気はないけど、同じように何かを見つけたい。  何か一つ。  そう前向きに思え始めたのはすっきりとした空間のおかげだろう。息を吐いて空になったマグカップをテーブルに置いた。    そろそろ彼が来るはずだ。もう一杯コーヒーを飲むか、それとも一人分だけ入れるか。考えているとインターホンが鳴った。  
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!