ープロローグー

1/2
前へ
/30ページ
次へ

ープロローグー

「いっしょに食べよう?」 伏せっている老人の部屋に、女の子がスイカの皿を持って入って来た。 老人は嬉しそうに微笑んで、 「ありがとう。今はいいかな。おじいちゃんお腹の調子が良くないんだよ」 「そっか。じゃあ向こうで食べてくる。見せびらかしたら意地悪だもんね」 「ここで食べていいよ。おじいちゃんも寂しくない」 「ご本も持ってきていい? 静かに読むから」 静かにねぇ。老人は笑った。そして思った。 (そろそろかな) たくさんの絵本を抱えてきた孫娘に老人は言った。 「いいものをあげよう」 「いいもの?」 女の子は目を輝かせた。 「いつもいい子にしていたご褒美だよ」 老人は差し出された小さな手をそっと握った。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加