24人が本棚に入れています
本棚に追加
都市伝説ーとしでんせつー
「ねぇ知ってる? ここの病院、エレベーター1個減らすんだって」
「もしかしてあの三台あった真ん中のヤツ?」
「そうそう」
「しょっちゅう不具合あったもんねー、ウチのおばあちゃんも言ってた。腰が痛くて診てもらいに来たら、何っ回押しても下に行っちゃうんでどうしようかと思ったって」
「ここで兄貴の友達が研修受けてたのね。それで夜中に乗ったんだってあのエレベーター」
「で?」
「なんかね、一階のボタンが押してないのにずっとカチカチカチカチ動いてんだって」
「怖っ! それで?!」
「その人そういうの割と平気な人でね、お化けって言うよりどっかのおばさんが(急いでんのに~)って意味なく連打みたいな。そんな感じだったって」
「怖い話って言えばさー『アカナイ』って知ってる?」
「『デレナイ』じゃなかったっけ。どこかの空き地の話でしょ?」
「なんにも無い、見晴らしのいい原っぱなんだよね?」
「正直場所教えてほしいよね~」
「そこにうっかりピクニックとか行ってお弁当広げてたりすると‥‥‥」
「どっかからアカナイ、アカナイ、デレナイ、デレナイって悲痛な声がずーっと車の中まで追いかけて来るんだって」
「女の人の声だっけ」
「私おじさんって聞いた」
「私親子って聞いたよ?」
「え、かわいそう」
「嫁いびり過ぎたばあさんとマザコン過ぎた息子だって」
「ならいっかー」
高校生らしき女の子達は、笑いながら病院の前でバスに乗った。
今日も当たり前の一日が始まった。
ほとんどの人にとっては。
最初のコメントを投稿しよう!