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肋骨と肋骨の間が突き刺されるように痛い、息が詰まる。
沙雪は胸を押さえ、畳の上でのたうち回った。引き揚げられた魚のように
身体がびくびくと暴れる。
「! どうしよう‥‥‥」
深雪は布団に取り縋り、菫を揺さぶった。
「おばあちゃん、おばあちゃんてばっ」
菫は動かない。
(どうしようどうしよう、ママ死んじゃう、助けて、誰か助けて)
「たすけてぇぇーーーーっ‼」
深雪は声の限りに叫んだ。
突然居間の襖が弾け飛び、男の子が転がり込んでくる。
「っ‥‥‥てぇ!」
どこでぶつけたのか頭をかかえて唸っているのだが、深雪に彼の怪我を思いやる余裕は無い。
「ママを助けてママを助けてぇッ‼」
「ちょ、ちょっと待て耳元で怒鳴るなよ、さっきの声やっぱりおまえか」
「うわぁぁぁぁん、深雪が悪いの深雪のせいなの」
「待て待てそれなら救急車呼ばなきゃだろうが、おまえ携帯は?」
「ケイタイって何?」
「は?」
雄黄は起き上がり、部屋を見渡す。
博物館に置いてありそうな黒い物体が目に入った。
「電話だで、ん、わ‼ これだな、よし、!?」
使い方がわからない。どこ押しゃいいんだこれ‥‥‥
「おい、おまえ119かけられるか」
「119?」
「やれ、お母さん助けたいんだろ!?」
「わがった」
しゃくりあげながら深雪がダイヤルを回す。
「じゅうしょ、お家の住所教えてって、わかんないぃ」
「おまえ保育園行ってるか?」
「ようちえん行ってる」
「かばんに連絡ノート入ってないか? よし貸せ!」
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