2021年、新年のご挨拶

1/2
1040人が本棚に入れています
本棚に追加
/136ページ

2021年、新年のご挨拶

皆様、新年あけましておめでとうございます! 本年もぜひ、龍ヶ崎×颯斗シリーズを宜しくお願い致します。 「僭越ながらここからの司会進行は、今年年男の僕、紫澤(しざわ)玲凰(れおん)が務めさせて頂きたいと思います」 深々と読者へ向かって紫澤はお辞儀をする。 「へぇ。今年、紫澤先輩は年男なんですね。丑年かぁ。穏やかな先輩にぴったりです。しかも、定番の黒の紋付袴姿似合ってますね」 目を輝かせて喋るこの男は、今年のバレンタインでようやく二十歳となるこのお話しの主人公、高遠(たかとお)颯斗(はやと)だ。 家が貧乏故、高校時代からバイトと勉学に明け暮れた颯斗は、ただ今、恋人である超人気俳優の(りゅう)()(さき)翔琉(かける)に愛され、着々と色気のある(本人は気が付いていないようだが)良い男へ成長中である。 「おい、颯斗。何、納得してるんだ。紫澤のヤローは穏やかでも何でもないぞ。ただ、したたかなだけだ」 フンと鼻で笑い、背後から颯斗を絶対に離さないよう抱き締めているのは、天性の人たらしでハリウッドにも進出したことのある超人気俳優の龍ヶ崎翔琉だ。 ちなみにこの男、いよいよ今年三月で三十歳となる。 そう、颯斗とは十歳差の恋人同士なのだ。 「したたかとは失礼ですね。しっかりしていると言ってください。だいたい新年早々、皆さんの前でそんなにべったりして……」 腕を組み、呆れ顔の紫澤が二人へ向かって告げる。 このシリーズの爽やか王子紫澤は、日本五大商社の内の一つ紫澤物産の御曹司だ。 颯斗の大学の元先輩で、以前、翔琉とは恋のライバルであった。 だからこそ、翔琉は紫澤にとても厳しい。 否、紫澤だけでない。 常に、颯斗を狙う者には容赦がない。 それだけ颯斗のことを溺愛しているのだ。 「当たり前だろう? 俺は今日、颯斗のガードをする為にやって来たんだから」 そう返した翔琉も正月ということで、クォーター特有の淡い髪をオールバックにし、ダークネイビーの一紋付袴の正装をしていた。 以前、黒の紋付袴姿を着ていたこともあるが、海外の血が入った翔琉には、色物の着物の方がより似合う。 しかも元モデルのせいか、翔琉はオシャレにその襟元をゴージャスなボリュームあるグレーのフォックスファーを巻いている。 「まあまあ、翔琉。新年からそんなに敵意を剥き出しにしなくても……」 困惑しながら登場したのは、翔琉の二つ年下、元モデル仲間で唯一のライバル。現、紫澤の上司である久我原(くがはら)桜雅(おうが)だ。 「あ! 久我原様、あけましておめでとうございます」 翔琉の腕の中から苦笑しつつ、颯斗は新年の挨拶をする。 「はい、高遠君。おめでとう。今年も、どうしようもないその男をどうか宜しくね」 穏やかな笑みを浮かべた桜雅は、やはり元モデルということもあり渋いダークブラウンの訪問着にブラックのハットを被ったモダンな出で立ちであった。
/136ページ

最初のコメントを投稿しよう!