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「おねだりがだいぶ上手になったな」
翔琉はそう言うと、サイドテーブルの一番上の引き出しから、まるでこれからすることとは無縁の可愛いらしい花柄が描かれたチューブを素早く片手で取り出した。
「……それは?」
見慣れないそれに、俺は少し怯えながら問う。
「これか?」
手にしたチューブを、翔琉は反対側の掌の上に惜しみなく出す。
想像していたジェルのようなものとは違う、サラサラとした透明のものが出てくる。
「これは、弱酸性のローションだ。颯斗に元気な双子を産んで欲しいからな。身体に少しでも優しいものを選んでみた」
用意周到過ぎる翔琉の肩へ、瞬時に俺は羞恥心から顔を伏せた。
なんて、スパダリ感のある恋人なのだろうか。
でも、準備万端過ぎて……却って、超恥ずかし過ぎる。
その、翔琉は俺との子ども……ずっと、欲しいと思っていたのかなぁ。
翔琉との子どもだったら、男の子でも女の子でも。
たとえ、平凡な俺の遺伝子が半分入っていたとしても、きっと美しい顔立ちの子が生まれるに違いない。
宝物のような双子を抱いたパパの姿の翔琉。昨年、ドラマでパパ役をしていたが、実際に父親をしている翔琉も見てみたい気がする。
今まで翔琉と子どもなんて全く結びつかなかったから、想像すらしなかったが。
って、俺――何、双子が産まれる前提で妄想しているんだよ!
「翔琉……お仕事忙しいのに、“パパ”――になって、くれる……んですか?」
これ以上妄想しないよう努めながら、俺は半信半疑で翔琉の覚悟を尋ねる。
少し重い言葉だったかな、と反省しながら。
「もちろんだ。颯斗と子どもの傍にいたいから、仕事は休むつもりだ」
掌に出したローションを、翔琉はすっかりトロトロに蕩けていた俺の孔へ塗り込みながら、いつものイケメン顔で言う。
「……ふっ、……ァで、でもっ……そんなこと、したら……ファンの人たちが、か、悲しみま……す」
細長く筋張った翔琉の指が三本、俺の孔の内で蠢く。羞恥とは別に、俺は顔を真っ赤にさせ、息荒く言った。
「――ファンが悲しむ? そう思ってくれる者が、一人でもいてくれたら嬉しいがな」
こともなげに翔琉は告げる。
「……っ、いてくれたら、じゃなくって……ァあ、大勢っ……いる、と思いま……ァアああ」
秘処の内側にある、嬌声が洩れるソコを指で弄られ、俺は大きく全身をビクッと揺らす。
「それより、目の前にいる大切な人が悲しむ方が俺には耐えられないがな」
翔琉はそう言うと、俺から指を引き抜く。
「ぁあっ」
反動で、俺の口からは甘い声が洩れる。
満足そうな笑みを浮かべた翔琉は、再びチューブを手に取ると、今度はそれを自身の黒々とした屹立へ塗り込んだ。
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