Phantom

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車が到着したのは、煌々と明かりの灯る洋館。 大きな扉が開けられて、広い廊下を引っ張られながら私は歩いた。 その光景を多くの使用人達は頭を下げ、見ないようにしている。 この洋館が、実際寒いのか暑いのかさえ、分からない。 燃える鬱塊(うっかい)が苦しくて、汗と涙が溢れてしまう。 男性の足が止まり、目の前にあるドアを開け、私を先に入れる。 ドアの鍵を閉める音がした。 私は、もうここから出られない気がした。 その部屋の暖炉には赤々と炎が燃え、天蓋付きのベッドの影が揺れる。 振り返り男性の瞳を見ると静寂の色を灯していた虹彩は、全てオレンジ色に変わり私を見つめる。 (もう、無理だ……) 私は近づいてくる唇に、合わせるように顔を傾けていた。 触れる唇、侵入する舌 それだけで、立ち上がっている性器の先端を濡らす。 キスをしたまま男性は動き、ベッドへと押し倒された。 シャツのボタンの隙間に指を入れて引きちぎる。 そして露わになった鎖骨から首筋、耳の裏に生温かい舌を這わし舐めてゆく。  ハァ、ハァ、ハァ 会話を交わすこともなく、男性と、私の呼吸する声しか聞こえない。 下腹部に当たる興奮した男性の性器に手を伸ばした。 男性は動きを止めて、私を見る。 「いいね、いい表情だ、ルディ……」 「……なぜ、私の名を……んんっ」 “何故に” 答えることなく、耳の中に舌先を入れる。 「いぁ、あっ……」 「もっと、もっと、可愛い声で鳴いて、ルディ」 耳元で囁きながら、私のズボンのベルトを外し下半身を露わにさせた。
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