その8

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その8

 ある街に連続殺人犯がいる。警察がつかんでいる情報で、そいつはかならず十三日の日に、青いゴム手袋をつけて、自転車のチェーンで、被害者を絞め殺すのだが、何件か犯行を重ねたところで、ぴたりとひとを殺すのをやめてしまった。  最後の犯行から九か月がたった十三日の日、ある警官が自分にとってじゃまな女を始末し、その罪を連続殺人犯になすりつけようとしていた。青いゴム手袋と自転車のチェーンを用意し、殺害を実行する。あとはこの罪を殺人犯がかぶってくれるはずだった。しかし、この日に限ってやつはふたたび犯行をし、しかも捕まったというではないか。警官は唖然とする。自分が捕まるのは時間の問題だった。  なすりつけに失敗した話。
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