その10

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その10

 ある婦人、タクシーに乗っていたところ、となりに一台の車が並んだのに気がついた。見ると、後部座席に乗っているのは評判の悪い金持ち。金に任せていろいろな悪事をして、みなから憎まれている。そのとなりの車に不似合いな人物がいるのに気がついた。あまり人相の良くない男がいる。あの金持ちが雇うはずはない。だれだろうと思っているうちにその車は走り去ってしまった。  翌日、あの金持ちが刺し殺されたとの記事が出ていた。犯人として車の運転手が捕まったという。しかし、妙だ。婦人は昨日、あの車に同乗していた男を見ている。そのことを警察に申しでる。どうやらタクシーの運転手も同じ男を見たらしい。目撃者が出たので、捕まっていた運転手は解放される。しかし、その後もいっこうに犯人は捕まる気配はない。なぜだろうと思ってふたたび車で現場に行くと、となりに並んだ車に自分の車の運転手の体が映っているではないか。これをとなりの車に乗っていると誤解したのだ。真相に気づいた婦人だが、それを警察に申しでる気はなかった。あの金持ちが死んでみなよろこんでいるのだから。  真相がいまいちだと思う。文字で説明しづらい。これを読んでいるひとに伝わっているのかも怪しい。
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