その15

1/1
前へ
/287ページ
次へ

その15

 ある男性、妻からひどく文句を言われている。水道が壊れたのを男性が修理したのを妻が怒っているのだ。素人のあなたがやると、中途半端だと。しかし、男性にも言い分がある。自分でやれるのだからわざわざ金を払って他人にやらせる必要はないというものだ。このような争いはいままでもたびたび発生し、そして、いつも男性が家から避難することで決着がつく。この日も男性は妻に追いだされるようになじみの酒場へ逃げこんだ。そこの店主に妻の愚痴を言う。店主は苦笑い。数年前に店主の妻はひき逃げで亡くなっているのだ。犯人は捕まっていない。しかし、今日に限って男性は意外なことを聞いた。店主は妻を憎んでいた。さらにひとに依頼して妻を殺したのだという。「金はかかるが、自由を手に入れることに比べれば安いものだ」こう店主は言った。男性は考えた。  ときは経ち、男性は拘置所のなか。やはり男性は他人に高い金は払えなかった。それでも大丈夫だ。自分の弁護だって自分でやれるはずだ。なんの問題もない。  題名がDo it yourselfで伏線もしっかりしているし、かなりよくできた作品だと思います。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加