その16

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その16

 ある女性、夫に不満を抱いている。夫はなにもかも自分でやって、妻にはせいぜい家事くらいしかやらせてくれないのだ。スーパーのパートをやりたいといっても、そんなものは必要ないと一蹴される。そんな妻は夫を殺すことを計画した。うまい具合にその機会が巡ってきたのだが、妻は考えた。はたして夫が死んだあとひとりで暮らせるのかと。まだ猶予はある。夫が死ぬ前にいままで夫任せにしてきたことを自分でやれるようになってからでも遅くはない。妻は夫の様子を盗み見て、庭の手入れや銀行での金銭のやり取りなどを自分でやるようにした。すると、そのうちに生活に充実感が出てきた。夫を殺さなくても自分は十分ひとりで生きていけるのだ。夫に対して心の余裕が出てきた。それは夫も感じているようで、今度は夫が言いだした。皿洗いを教えてくれと。  家庭内の話でめでたく?終わっています。自分は夫を殺す展開のほうが好みです。  それにしても夫婦間の殺人は小説でよく見ますが、それだけお互いに憎しみあっているんでしょうね。怖いものです。
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