こんな話を読んだ

その１

　ある中年の男性、公園で若い女性と知り合いになる。どうもその女性はひと探しをしているらしい。遠くの街から巡り巡って男性の住む街へたどり着いたようだ。男性には思いあたることがあった。二十年前に結婚式へ急ぐため、車で幼い子どもをひき殺したことがある。女性の話を聞くと、なんと彼女が探しているのも二十年前の件についてだというではないか。男性は彼女があの事件の真相にたどり着くと確信を持ち、ころあいを見計らって彼女を始末した。男性が調子の悪い様子で自宅へ帰ると、妻が一通の手紙をもって立っていた。その手紙は、妻が二十年前に捨てた子どもからの手紙だった。やっと探しあてたと書いてある。あの女性が探していたのは、男性ではなく、自分を捨てた母親である妻のほうだったのである。

　よくある勘ちがいの話。