その22

1/1
前へ
/287ページ
次へ

その22

 酒場にいたその女性は、わたしが警官だというと、興味津々だった。拳銃を見せてくれだの、仕事の話を聞かせてくれだの食いついてくる。わたしはいい獲物だと思った。最近話題の連続殺人犯がいる。それはわたしなのだ。それとなく彼女の家へ向かうように誘導する。そのあいだも彼女を退屈させないように話してやった。わたしの父親は警官だったと。彼女の家に着くと、いよいよ殺害だ。包丁を手に取って彼女に迫る。すると、彼女は逆にわたしへ拳銃を突きつけた。彼女は警官だったのである。彼女は見抜いていた。わたしが警官のふりをした、ただの殺人犯であることを。周りはすっかり本物の警官に囲まれ、わたしはなすすべもなく捕まった。  ストレートな話でした。あんまりひねりはなかったかな。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加