その24

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その24

 切手の売買をしている店にある青年が切手を持ちこんできた。そこの店主は青年の持ってきた切手を見るなり、目を丸くした。しかし、極力それを顔に出さずに、青年から問題の切手を安い値段で買いとる。   その切手を持って、店主は有名な富豪のもとへ向かった。その富豪は最近世界でひとつしかない切手をオークションで落札した。大金を払ってだ。ただ、いま店主の手にはそれと同じ切手がある。あの青年がたまたま持ってきた切手がそれだ。店主は富豪に持ちかけた。この切手を買いとってくれと。そして、買いとった切手を燃やせばあなたの落札した切手は世界でひとつの切手にもどりますよと。富豪はそれなりの金を支払い、店主の言うことに同意した。  この話のあと、さらに、切手を燃やすときに、じつは店主が元手品師で切手は燃やしたと見せかけてちゃんと確保しているというオチがついているのですが、元手品師だという伏線がどこにも書いていなかったので、つけるなら、手品師だったというエピソードなり、ほのめかしなりを入れないといけないと思います。
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