その3

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その3

 その青年には子どものころ仲よくしていた友だちがいた。青年が、頭がよく気弱なのに対して、友だちは体が大きく正義感の強い人間だった。いじめられている青年をいつも守ってくれた。親からはあまり勉強のできない友だちとはつき合わないほうがいいと言われていたが、それでもふたりは親友だった。それが急に青年が引っ越すことになり、はなればなれになってしまった。  それが今日、銀行で再会した。友だちは青年の背中に銃を押しあてて言った。「拳銃を捨てるんだ」青年が見た友だちの目は子どものときと同じように正義感にあふれたまっすぐな目だった。  子どものころの親友と再会するなら、がらっと見た目なり立場なりが変わっていないと話になりませんね。
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