その7

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その7

 ある女性、夫がまた浮気をしているのではないかと勘づく。あれだけ最後にしてといったのにまたやっているようだ。何回もやられているので、だいたいの想像はつく。自分より若い女、髪はブロンド。女性はさっそく相手を特定しに夫のあとをつけることにした。すると、やはり夫は女性と密会をしていた。その相手の家に女性が乗りこむ。警告してやろうと思ったのだ。しかし、相手の女性は自分よりずっと美人だった。このことに衝撃を受け、警告するのをやめてしまう。黙って家に帰る。しかし、これで最後にしてもらわなくてはいけないのはかわらない。女性は支度をはじめる。数本の包丁に縄、大きな袋も持って相手の女性の家へ向かう。その部屋だけ電気が消えていた。ドアをノックする。夫が出てきた。強引に押しのけて室内へ入る。そこには無残なすがたになったブロンドの美女がいた。夫が言う。「またやってしまったよ。どうすればいいんだい」女性は役にたたない夫には目もくれず、てきぱきと死体の処理をはじめる。  そういう最後でしたかという話。なんという夫でしょう。
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