お引越し前のお片付け

1/3
7人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ

お引越し前のお片付け

 今は冬休みの真っ最中。私んちはその休みを使って引っ越しをする。お父さんの収入が増えたのとまとまった貯金ができたために近くに新居を買ったのだ。 「じゃあ母さんとお兄ちゃん連れて、大きいもの新居に下ろしてくるからユミは残って雑誌類をビニール紐で縛っといて。漫画読み始めたりしてサボるなよ?」  お父さんは私にそういい含めて2トントラックを運転して新居に向かった。必要なものは大体新居に運んだあとなので、今のうちに残ってるのはゴミとして出すものばかり。  私はまずお父さんの部屋の雑誌類からまとめ始める。お父さんがこっそり見てるエッチな本とか見つけたらどうしましょ?とか考えて雑誌類をまとめていると私は一冊の本を見つけた。 「わぁ!お父さんが中学生のときの文集!お宝発見!読んじゃうよ?読んじゃうよ?お父さんに内緒で読んじゃうよ!」  私はお父さんの作文が載っているページを探し出して目を走らせた。 『日本は政治がうまくいかず、だんだんと世の中は悪くなっています。また、差別やいじめもなくなりません。僕はとても悲しい。どうすれば日本は豊かになるのでしょう。どうすれば差別はなくなるのでしょう。僕にできることは何なのか。一生懸命考えました。そして僕の答えは出ました。僕が神になればいい。僕は神になる』  私は文集をパタッと閉じた。  お父さん、危険思想持ってるのかな?でもでも中学生のときなんて、きっとそういうものよね?神になりたかったりするものよね?  私はお父さんの部屋にあった雑誌類をぎゅうぎゅうに縛ってまとめ上げた。  私は何も見なかった。うん。そうしよう。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!