コバルトブルーに抱かれたい。

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彼は、街を去る前に、私を駅に呼び出して、のこのこやって来た私にこう言ったんだ。 「 好きだった。 君にどれだけ酷い事したか。 謝っても謝り切れない。 どんな時でも、泣かないし、挫けないし、弱みを見せない。そんな強い君が好きだった」 私、浮気・妊娠の発覚の時も、別れ話の時も、結婚話を浮気相手から聞かされた時も泣かなかったじゃん。 ずっと黙って、待ってたじゃん。 なのにさ。 「 でも、気づいたんだ。 自分が君にとって、弱みを見せるに値しない、取るに足らない人間だって。 こんな事言うのなんだけど。今度恋愛する時は、自分の弱みを見せる事の出来る男を好きになりなよ。 麗、ごめん 」 そう言って、彼は私の前から消えてしまった。 私は抜け殻になったね、さすがに。
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