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一、目覚め の巻
今より五千年以上の遥かな昔、大いなる戦いがありました。
それは荒れ狂う邪とその地を守護する神の僕の戦いでした。
その戦いは大地を裂き、海を割る程に熾烈を極めます。
長きに渡る戦いの末に荒れ狂う邪は滅せられましたが、神の僕は休息を必要とし永い眠りについたのです。
そして時は流れ…
現代。
蒼龍神社に流れ込む蒼龍川には、名水を欲して多くの人々が水を汲みに訪れています。
無病息災も祈願されます。
蒼龍川は昔この地を護った龍神が、大地にその身体を休めた際に出来た溝が川となり、森を育み、人が住む様になり栄えたと言う伝説があります。
それは伝説ではなく史実であったのですが…
その蒼龍川で、龍神『青龍』は目覚めました。
身体は霊体化しています。蒼龍川に集まる人々や、そこに生きる小魚も青龍には気付きません。
青龍はその身体を蒼龍川から起こして辺りを見渡してみると、自身が眠りについた頃から随分時が経過した事を理解されました。
' フム… 我が眠っている間に随分と景色が様変わりしているな… '
眼下に見える人々の街並みには見た事のない珍しい物が、そして文明が広がっていました。
それは青龍の好奇心をそそるのには充分過ぎるものでした。
' どれ、今の世がどの様になっているか散策してみるとするか… しかし霊体化のままでは直接触れる事が叶わぬな… 操るのが簡単な者の身体を借りるとしようか '
青龍は眼下に見えた小動物に目を止めました。
小さなトカゲです。
青龍はその巨大な霊体化した身体を収縮させ、その小さなトカゲの体に一気に入り込みました。
トカゲはその小さな体に巨大なエネルギーを一気に注がれ、まるで雷に撃たれた様に体を震わせています。
トカゲは静かに尻尾を地に降ろすと、頭を少し上に向けました。
' うむ、では探検に出掛けるとしよう! '
トカゲに憑依した青龍は、蒼龍神社から探検に出発されたのです。
これはその青龍と言う龍神様のお話。
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