10人が本棚に入れています
本棚に追加
十二歳の時、僕はこの街に来た。
父親から逃げるみたいに、母さんと二人で。
DVなんてありふれた話かも知れない。でも、まだ六年生の僕にとって、父親の暴力を見るのはずいぶん心に堪えた。
転校もした。
あと一年で卒業って時期に、急に転校なんて。
家は滅茶苦茶で、母さんはずっと泣いてて、そのしわ寄せが僕にきて。
理不尽だよ、ほんと。
クラスの人は最初は仲良くしてくれたけど、僕は孤独だった。サイズが合わない服を無理やり着てるみたいで、心が別の場所にあるみたいで、居心地が悪かった。
そのうち、父親の噂が広まった。僕に話しかける人は誰もいなくなった。
僕は、学校に行かなくなった。
最初のコメントを投稿しよう!