残された歌

　休日、職場の連中からしかかかってくることのない携帯電話が鳴った。
　息子の弘平だった。
　妻が亡くなった時、散々僕のせいだと責め立てた弘平が久しぶりに連絡してきたとあって、僕は驚いた。
「動画見てみろよ」
「動画？」
「ＵＲＬ送るから」
　と弘平が言ったところで電話は切れた。直後にメールでホームページのアドレスらしきものが送られてきて合点がいった。ＵＲＬとはホームページのアドレスのことだったのかと、パソコンにうとい僕はようやくわかったのだった。

　僕の携帯はガラケーで、動画など見ることはできない。その送られてきたURLを会社のパソコンのアドレスに送った。
　会社の休憩時間に覗いてみると、有名な動画サイトのチャンネルにつながった。
　音が周りに聞こえてしまうのが気になり、そこで見るのはやめた。