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「きっとレベル999くらいあるんだ」
「あー、わかるよ英にい、きっとそう」
「きっと最終奥義とか超強力全体系の魔法を使えるんだよ」
いささかゲームや異世界物作品を知っている私と英にいと戸田さんは、本当に本っ当に小さな声で言葉を交わし合った。
私達のすぐ前を歩いている生駒さんや野瀬さんにも聞こえないくらい。
なのに、トリュステン王子に並ぶくらい前を行く魔王陛下がくすりと笑った気がした。
聞こえた!?地獄耳っ!?
こ、これは今まで以上に言動に気をつけなきゃ。
「わ、私、これまで以上に失礼なことを言わないように気をつける」
「待て、これまで以上にっておまえ全然気をつけてなかっただろ」
「気をつけてたわよ。すごく考えてしゃべってた」
「それであれかよ……」
どうして呆れるのかな、英にい。
と、さすがに堪えきれなくなったのか、魔王陛下の肩が揺れ、くすくすと笑う声もこちらまで聞こえた。
「まさか人の城でこれほど楽しめるとは」
あれ?
魔王陛下、踵を返してこっちに向かってきてません?
視線、私にばっちり合っている気がするんですけど。
……間違ってなかった、目の前に立たれた。
背が高すぎて、見上げると首が痛いよう。
160センチの私と2メートルくらいの陛下の身長差は40センチ以上。
しかも、至近距離だと見上げるのも一苦労です。
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