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あああ、朝日が目にしみる。
「ほわあああ……眩しい~」
自宅のドアを出て、私は思わず目を強くつむった。
徹夜明けとまではいかないが、睡眠時間2時間の若者に、この日差しはきつすぎる。
7月だよ7月、雨でも曇りでもいいと思うのに、今年はどうやら空梅雨らしい。
ああ、目がしょぼつくだけじゃなく肩も凝ってる、このまま大学に行きたくないなあ。
しかめっ面をして右肩をぐるぐる回していると、これから出かける私とは逆に、自宅に戻ってきたお隣さんが。
「……おはよ、英ピ」
「やめろ亜麻ブー、その呼び方」
「どっちがよ。うら若き乙女にブーをつけるな」
私には森亜麻音(もりあまね)という立派な名がある。
私の方から英ピって呼んでるから仕方ないのかもしれないけどもさ。
あーあ、なんかよれたグレイのパーカーをTシャツに引っかけて。
手にはコンビニの袋。
エコバッグ使え、自然に優しくない奴め。
「それ、朝食?」
「10時間ぶりの飯。これから寝る」
おまえ、それを昼夜逆転て言うんだ。
私は英ピこと英也(ひでや)の全身を上から下まで見て、ため息をついた。
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