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「亜麻音ちゃん、聖女だったのかい?」
やだ、わかってて聞いてくる生駒さんたらー。
「アマネ・モリ・アラテガワでございます。まず神聖力というものがどういうものなのかちっとも分かりませんし、私そんなものに頼らなくても自分の脚がございますので、出来ましたら教会ではなく近衞隊や騎士団の鍛錬場でもっと有効な使い方を学びとうございますわ」
何といっても、私クロード様を担当させていただいておりますし、躾は大事でございますものねえ。
ひらと裾をほんの少しだけ持ち上げて脚を振れば、貴族たちの間からのざわめきが大きくなりました。
そうかそうかそうですとも、第1王子が股間蹴られたって話、ゴシップ好き&情報が時には命とりにも有効なカードにも成りえるお貴族様たちの間できっと出回っているってわけか。
股間とまではいかなくても、反撃食らって負傷したくらいは。
犯人の私が神聖力なんぞちゃんちゃらおかしいわ。
「すみませんねえ、この子は私が教頭をしておったときの教え子で、元気いっぱいの明るく誰にでも分け隔てのない素直な子なのです」
素直な子です、またの名をストレートな子です。
そして分け隔てないってことは、王族だろうが何だろうがやっていいことと悪いことの区別がつかない奴にはお仕置きよっ。
「それで、聖女というのは年齢がどこかの文書に書かれておりますでしょうか。私らも考えたのですが、何故聖人ではないのでしょう。男性という可能性は?勇者も同様。そして、年齢についてはいかがでしょう、制限というものがあるのですかな」
生駒さんの言葉に、お貴族様方がみんなはっとなりました。
そうです、若い男女が勇者と聖女なんて誰が決めた。
思い込みも甚だしい。
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