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「では、最後に」
私たちの紹介が終わり、クロード王子の処罰への異議申し立て却下、聖女の教会引き渡し却下、ブロール侯爵御令嬢への暴行容疑却下の嵐で今夜のお披露目会は終わると思っていたお貴族様たちのが、まだ何か?と女王陛下を見つめた。
「長年和平及び不可侵条約を結んでおきながら双方より歩み寄りのなかった条約国と魔王国でしたが、このたびアラテガワ準男爵及び領民たちにより、魔王国との交流を再開いたします」
女王陛下による爆弾発言で、貴族たち騒然。
異世界人なんか構ってる場合じゃなくなりました。
そらそうだ、彼らの頭の中の魔王国は敵国でそこにいる魔族は異形の恐ろしい存在なのだから。
人間側は先の大戦から代替わりして久しく、不可侵の名の下に国交までほぼ断絶していたので、条約国五国の人々の9割以上が魔族を見たことがない。
人間、見たことのないものに恐怖心を抱くと、それがどんどん膨らんで勝手に独り歩きしちゃうんですよー。
根拠のない噂ってそんなもの。
「女王陛下!そのような話は聞いておりませんぞ!」
レイザッカ公爵が吠えましたが、さすがに他の貴族たちも追従しております。
「いくら和平を結ぼうとも魔王国は敵!」
「異形の者たちが住むというではありませんか!」
「いつ条約を破棄して侵攻してくるか分からんのですぞ!」
いや、来ないわよ。
何故なら人間と寿命が違う彼らは代替わりしていなくって、大戦のことを覚えている。
その上で魔王陛下は平和を望み、今回の異世界人紹介騒動でこちらの世界とのつながりが出来たことを喜んでいるんだもん。
あと、個人的にパルマさんとこの米大事、醤油大事。
魔王国は敵じゃない、アラテガワ領にとってはひっじょーな友好国なんですよ。
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