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「クロード王子が勇者と聖女を召喚したことで、魔王国より使者がまいりました。私たちは勇者と聖女の召喚は誤りで敵対する意志がないこと、今後も和平を望んでいることをお伝えし、了承していただきました。私たちと魔王国の間に入り、取り成してこれまで以上の和睦に導いてくれたのは、アラテガワ領の皆様です。それだけでも、まだこの世界に来て日が浅い彼らの功績はめざましいもの」
生き延びるのに必死ですからね。
生き残るためなら勇者も聖女もいらん。
ひたすら平和に楽に楽しく生活していきたいじゃありませんか。
「では、異世界人は魔王国と内通していると!?」
「勇者や聖女のくせに魔族側につくというのか!」
あぁん?
「英にい、今の発言したやつら」
「蹴るな。蹴りに行くな。チョップも許さん。計画狂わせるなよ」
こう罵られるのも英にいの計画のうち。
どうやら魔王国との橋渡し的なことを行った私たちの功績は、裏を返せば魔王国にヴァンダールフトを売った売国奴ともいえるそうで。
ありえん、リエンヌ女王陛下が統治していてトリュステン王子がそれをがっつり支えている最上級に優秀な統治者王族に喧嘩を売るような真似はいたしません。
誰が自分たちの首を自ら絞めるもんか。
「女王陛下。ご発言よろしいかしら」
これまでずっと沈黙を守ってきた野瀬さんが一歩前に出る。
老婦人一人の存在に、何故か貴族たちが気圧されて静まり返ったので、ざまあみろと心の中で思ったのは仕方ないよね?
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