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「真実は己の目で見定め、判断するものではございませんの?過去の夢物語、空想の産物として皆様が魔王国を恐れ貶めているのであれば、真の目をお開きくだいますよう進言いたします。こちらの御令嬢のどこが異形なのです」
そう言って野瀬さんがヴィオレッタ大公妃の後ろに控えていたパルマさんに手を差し伸べる。
ここでようやくパルマさんが前に出てきて、貴族たちは「?」な顔になる。
ずっとヴィオレッタ大公妃のお付きの人とした思ってなかったもんね。
そんなん誰もそうだと言ってないもん、だから騙してないもん。
一緒に入ってきて、紹介されるのを待っていただけだもーんってこっちは言えるわけです。
「こちら、魔王国のパルマ・ハルピュイア副将軍ですのよ。さあ、ごらんになって。このお若い御令嬢のどこが異形なのでしょう」
御令嬢と言われ、パルマさんはちょっと落ち着かないようで、目が泳いでおりました。
御令嬢扱いは慣れていなかろう。
でもね、女子会兼お泊り会も経験して、少しずつこっちに打ち解けてきているのよ、パルマさん。
若干、ころがされているけれど。
しかも、ころがしている相手がこの国の王女様と第2王子の婚約者で他国の姫なんだけど。
ともかくも、パルマさんだってプライベートではお若いお嬢様なわけです。
魔王国では侯爵家のご出身ですもん、御令嬢よ。
魔王国の副将軍と紹介され、貴族たちの驚きたるや。
「じ、女王陛下!我らを謀ったのですか!」
レイザッカ公爵、あんたどんだけ恐慌状態。
そりゃあさっきクロード王子の件を抗議したときに、魔族のことを滅ぼしていい種族って言ったもんねえ。
口は災いのもとですのよ、ほっほっほ。
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