episode10 アラテガワvsお貴族様

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「謀るなどと。陛下へのその物言い不敬と取られてもよろしいのですか」 セラード宰相の声は冷たい。 この方も同じ公爵家、そして宰相として一番王家の近くにいてこれまでの経緯を全部知っている。 つまり、クロードくんのことで女王陛下はじめ王族の皆様方のこれまでの悲しみもレイザッカ公爵が裏で暗躍してクロード王子を次期国王に祭り上げようとしてることも全部ご存知。 下手するとユークレア公爵より熱心な王家信奉者なわけです、こちら。 「陛下は順を追って皆様方へアラテガワ領の方々もヴィオレッタ大公妃もご紹介してきたではありませんか。もし陛下に何らかの意図があれば、この場でハルピュイア副将軍を紹介せずにこのまま魔王国に帰還していただき、魔王国への侮辱ともとれる発言を魔王陛下に報告されていたのですよ」 そんなことになれば、一触即発の危機となりましょう。 ジリオンさんも魔王陛下至上主義の参謀様だし、パルマさんもしかり。 他の魔族の皆様もおおよそ察しがつくってもんです。 魔王国や魔王陛下を侮辱されたと判断すれば、和平だってぐらつきかねない。 原因はヴァンダールフトのお貴族様の発言による、なんてなったら、当然そのお貴族様は責任問題、王族も女王陛下が引責退位もあり得る。 そうなったら、どうなると思います? クロードくん継承権凍結ってことは、トリュステン王子が自動的に国王に昇格―っ。 まあ、そんなことはさせませんけどね。 レイザッカ公爵、こんなことになるとは思わず目を白黒させての大恐慌ぶり。 他の貴族たちは、飛び火してくるのを恐れてお口チャック状態。 で、魔族云々と言われていた時にパルマさんなら怒りそうなものですが、そこは事前にシミュレーションさせていただきましたとも。 またの名を猛特訓。 英にいがパルマさんと1対1で練習。
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