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言葉を遮られての突然のストレートな告白に、頬がかぁっと熱くなる。
「とにかく帰らせて。すぐ返事できるものじゃないから」
努めて冷静に答える。質問の答えにはなっていないけれど。
「うやむやにするつもりはないから……。煙にまいて逃げようなんて考えてないし」
顔を上げて、真っ直ぐに稲本くんを見つめて言った。
稲本くんの表情が、余裕のなさそうなものから安堵したものへと変わる。
それと同時に、掴まれた腕がゆっくりと解かれた。
「帰るね。おやすみなさい」
「はい。また、来週」
頷くと、私は稲本くんの部屋をあとにした。
触れられた唇は未だ熱い。アルコールの酔いなんてとっくにどこかへ行ってしまった。
身体の火照りをクールダウンすべく、夜風に当たりながら帰路についたのだった。
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