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伝えたかった言葉
――週末の午後。特にすることもなくて、ソファで雑誌をパラパラと眺めていると、携帯が着信音を告げた。
(メール…?)
受信BOXを見ると、電話帳に登録したままだった元彼の名前が表示されている。
少し迷ってからメールを開いた。
『突然ごめん。これから会えない?』
元彼――櫛木 誠とは、お互い多忙ですれ違ってしまい、些細なことからケンカ別れしていた。
すれ違いでつもり積もったイライラが許容を超えていたのか、果てには勢いのままに「もう別れるから!」という言葉が口を突いて出た。
「分かったから帰れ!」と語気を強めて言われて、別れたのが三月の末。
たった半月ほどしか経っていない。
すぐに済む話ならメールか電話の方が早いだろう。
あの時、自分が感情的に口走ってしまったのは否定しない。
お互い最後にしたはずなのに、会えない?とはどういうことなのか。
やり直したいから話したい、ただの暇潰しに声をかけた、新しい彼女ができたから報告……?考えても答えは出てこない。
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