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「なるほど、セルフ出荷ってことですね」
「そういうことです」
彼女はにこやかな表情だが、僕を観察しているように見えた。
「私を見て、何だかオーダーと違うなあ、と思う所はないですか?」
「いいえ、想像してたよりずっと美人ですよ」
どの口が言ってるんだ。言ってから恥ずかしくなった。
「お上手ですね。それではよろしければ、ここに受け取りのサインをお願いします。送信すると納品完了となります」
僕は彼女が差し出した携帯端末に指でサインした。これで彼女は僕のものになった。
僕の部屋は茅ヶ崎駅から徒歩15分の賃貸マンションの4階にある。部屋は間取りで言うと1ⅬⅮK。玄関から入ると、左にトイレと風呂、右に寝室として使っている和室があり、奥に台所と一緒になった居間がある。南向きのベランダからは辛うじて海が見える。
「この和室を君の部屋として自由に使ってください」
「わあ、有難うございます。素敵」
彼女は嬉しそうに笑った。
「僕は寝るときだけ使います」
「ユウトさんはベッドじゃなくて布団派なんですね」
「ベッドだと、寝ているうちに落っこちそうで落ち着かないんです」
「そうなんですね」
この部屋にはクローゼットがあるし座卓もある。化粧鏡は用意しておいた。
「何か必要なものはありますか?」
「いいえ。電源コンセントを使わせてもらっていいですか?」
「もちろん」
おそらくバッテリーを充電するんだろう。アンドロイドのバッテリーは一回の充電で2日間持つらしい。
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