ノウヒン

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かなたは部屋着に着替えてきた。長袖の白いTシャツと黒いスエットパンツ。カジュアルな服装は彼女を少し身近に感じさせてくれる。 「お昼過ぎちゃいましたね。何か作りましょうか?」 僕は折角なので彼女に手料理を作ってくれるように初期設定してある。自動調理器を使うのでは今までと変わらない。 「来ていきなりだし、簡単なものでいいですよ」 「わかりました。何にします?」 「うーん」 彼女はタッチパネルを操作して食品ストッカーに何が入っているか確認する。 「パスタはいかがですか」 「いいですね。それじゃあ、ナポリタンでお願いします」 「はい。ちょっと待っててくださいね」 ナポリタンを作る材料は揃っているはずだ。彼女はストッカーから材料と調味料を取り出した。なんだか楽しそうに見える。 「ユウトさんは普段料理されるんですか?」 シンクの下から鍋とフライパンを探し出して、クッキングヒーターの上に並べた。うちに有る鍋類はこれで全部だ。 「最近は自動調理器に任せきりです」 「便利ですよね」 鍋でお湯を沸かしはじめる。 「やっぱり鍋とか買わないとダメですかねえ」 「それよりも計量スプーンと計量カップとボウルは欲しいです」 彼女は早くも我が家の調理器具のラインナップを把握したようだ。彼女は包丁で材料を切っている。僕は食卓で頬杖をついて後ろ姿を眺める。女の人が料理をする姿を見るのは良いものだ。
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