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そのまま緩い速度で歩いて行くと、最初は小粒だった雨足は、次第に大きなものになって体を弾いていった。
最寄り駅まであと半分程の距離まで来て、本格的な大降りになる。
このままだとずぶ濡れだ……と思った矢先に、屋根の付いたバス停を見つけた。
僕は何となくそこへ入った。
小さな屋根が辛うじて、どしゃ降りの直撃を避けてくれる。
そうやって虚ろに突っ立ったまま、僕は昨晩のことを思い返した。
リョウジと、真夜さんのネットに上がった中傷を消してくれるように頼む僕に、父は交換条件を持ち掛けてきた。
――今後、彼等とは付き合わないこと。
それが約束出来るなら、中傷をしている人に止めさせるように働きかけよう。
ある程度は予想していた。
父が、何の条件もなく彼等を助けたいという僕の要望を聞いてくれるとは思えなかった。
しかし、どこかで一番怖れていたその持ち掛けを、容赦なく告げてきた父に怒りすら覚えた。
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