72人が本棚に入れています
本棚に追加
「……側にいるだけで楽しくて……何でも話せて……ずっと一緒にいたいって思えるような人でした。でも……事情があって、もう会えないかも知れないんです……」
そう、あんな風になれる友達は、きっともう他にいない――。
見ず知らずのこの人にこんな事を言ってもしょうがないのに……。
彼が僕の方を表情なく見下ろした。
「離れたくないのなら、離れなければ良いだろうが」
「でも……会ってはもう駄目になるんです……。そうでないと……彼等に被害が……」
「――何のことかは知らんが……。誰が何をしてこようが、決めるのはお前だ」
言われて、僕は隣の青年を見上げた。
「他人など関係ない。全ての決定権はお前にある。本当に自分で決めたことなら、他人の妨害など障害にすらならない」
「……」
「――例え親だろうが教師だろうが、お前の全てを知っているわけではない。お前の最善など他人に分かる訳がない。――判断を他人に委ねるな。お前自身のことは全て自分で決めろ。そうすれば迷いなどなくなる」
僕はぽかん、と眼帯の人を眺めた。
全て話した訳じゃないのに、どうしてそこまで分かるんだろう?
最初のコメントを投稿しよう!