7話 まだ先らしい

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7話 まだ先らしい

「いきなり何言ってッ!」 油断を誘ってるのか?いや私は、あいつにとって取るにたらない存在だ。そんなブラフをかける必要は、無い。 「いやそれでも何言ってるか全然理解できない! 私は、国のお偉いさんまで手にかけてるんだ! そんな奴誘うなんてどうかしてる!」 「いや経歴とか出身とか関係ないから俺の部隊」 あれ、、、おかしいぞ今さっきまで威厳のある感じだったのにちょっと気の良いおじさんくらいに見える。 「俺の部隊って何してるんだよお前の部隊私みたいな奴誘って」 「それは、まだ言えないが入ってくれたら言っても良い。お前の事を俺は、結構評価してるんだ。初めての戦闘でもお前は、俺の槍を避けた。殺す気は、なかったが当てる気のあったあの槍をだ。そしてさっきの戦闘、、、俺はなー自分の命を大事にする奴は、好きだ。お前は、さっき戦闘でこちらを無力化させることを即座にやめ逃げに徹しただろ。人の戦闘能力を素早く正確に見極めることができている。やることできて自分を大事にできて生きることに貪欲。俺の部隊にピッタリだ。だから入れ俺の部隊に」 「入ったらどうなる?」 「入る気になってくれたか!」 「別に、、報酬次第」 「社宅あり 年中無休 定期報酬有 突然の仕事有り 装備の点検代負担有り 転勤有 最後にお前の無罪放免を約束しよう」 なるほど好条件と悪条件のサンドイッチだが全然良い。特に私の無罪放免とか定期報酬とか多分言い方的に突然の仕事をしたら臨時報酬も入るのかな? そしたら私の夢の資金にもなるしよし決めたっ! 「分かったあんたの部隊に入るよ今日からよろしく隊長さん」 「ありがとうそれじゃこれからよろしくな。ところでお前の事なんて呼べばいい?」 「別にみんなと同じようにカラスとか呼べばいいんじゃない?」 「そうかまぁ呼び方は、後でもう一度変えるが今じゃ無くていいな。じゃカラスすまないお前の為に一度死んでくれ」 「えっ」 気付いた時には、私の胸は、鈍く光る鉛色の槍に貫かれていた。 槍の柄に私の紅い血が伝う。 「お前ッハメたのかッ」 喉の奥から液体が溢れて息がし辛い。 視界がどんどん端から暗くなっていく。 体の貫かれた真ん中は、燃えるほど熱いのに末端は、感覚が無くなりほど冷たくなっていくのを感じる。 槍が引き抜かれる。 抜かれた所からは、多くの血が流れ出す。 そのまま私は、地面に倒れる。 コンクリートでできた冷たい床をまだ温かい私の血が覆う。 駄目だ。 死ぬ。 怖い。 怖い。 怖い。 怖い。 死の足音がどんどんと近くなってくる。 これが死。 死ぬってこんなに孤独で怖いんだ。 ごめんみんなもうお姉ちゃん帰って来れない。 もう少し生きていたかったな。 こんな世界でももう少し生きて、、、いた、、、か、、、、、、 この日私は、死んだ。
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