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勇斗はあたしに、『鈴』に名前をつけてくれた。首輪についた鈴が、ミケ猫のあたしに、とっても似合ってるからですって。うん、悪くない名前だわ。
勇斗とあたしは、すぐに友だちになった。
勇斗はひとりっ子だったから、あたしを実の妹のように思っていたみたい。
あたしから言わせれば、勇斗のほうが弟で、あたしがお姉ちゃんなんだけどね。だって勇斗ってば、あたしがいないと全くダメなんだもの。
勇斗は何かあるとすぐに泣く子で、そのせいで学校でもいじめられてた。初めて出会った日も、学校の帰り道でからかわれて、泣きながら歩いていたようね。
だからね、あたしは勇斗を守るって決めたの。
具体的に言うとね、勇斗の学校の行き帰りは、近くで寄り添ってパトロールすることにした。勇斗が学校にいる間は、のら猫のように気ままに過ごして、勇斗が学校から出てくると、一緒に帰ることにしたの。勇斗と並んで歩いてると、他の子たちが興味津々で寄ってくるから、「にゃーん」って甘い声で鳴くのよ。
そうしたら、あたしと勇斗はすっかり人気者。いじめっ子たちも、簡単には近寄って来れないでしょう?
学校の友だちが少なかった勇斗には、あたしという猫を通して、友だちがたくさんできた。友だちがいれば、いじめっ子もターゲットにしにくいものね。
いつしか勇斗は、学校で泣かされることもなくなり、毎日楽しそうに学校に通うようになった。
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