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第一章 陰陽寮「霊視特務課」
陰陽寮
働きたい職場ランキングで毎年ワースト一位を飾る常連。
何でワースト一位なのかは噂だと、労基に通報されるほどブラックとか、上司がクソ怖い、退職者が後を絶たないなど一般企業でもありそうな話ばかりだがそれが積もりに積もって、現在の順位に降臨してるんだろう。
国の祭事や平穏を保つ為の組織で、宗教チックな名前だが一応公務員の職場。一時期途絶えたものの、平安時代から続くとされる最古の仕事だ。
表向きは。
その中でも俺が今日から所属する『霊視特務課』というやばそうな名前の部署は悪霊や妖怪、邪気を祓う専門のところだ。
世の中、悪霊、妖怪被害がなんぼ。視えない人間が殆どだけど、被害は全て人間や獣には絶対に出来ない俗世の域を超えてる。
だから消去法で非科学的なものの仕業になってる(視える奴には根拠があるらしいけど)
そういったのを祓うのが霊視特務課の主な仕事。噂だけど。
俺は今日からそこで働き始める。
何で視えない俺が採用になったかは分からない。
結果を伝える書類、目的地までの道が赤でなぞられた地図、そして透明なビニールの袋に詰められた黒のジャケット、スウェット、ネクタイ一式。送られてきたのはそれだけだ。
けど、内定が霊視特務課しか貰えなかった以上、働くしか選択肢がない。どんな環境が待ち受けていようが。
ハンガーにかかった真新しいジャケットを見つめる。
「行くぞ、俺……」
パシンと頬を叩いた。
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