甘音 amaoto

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 馬車行き交う大通(おおどおり)、  瓦斯(ガス)(とう)ともる黄昏刻(たそがれどき)――  幼きあなたは、お母さまに手を引かれ、当店にお立ち寄りくださいましたね。  坂上の洋館に住むご家族ともに、お()つは舶来(はくらい)菓子でいらっしゃるご様子。  それが何時(いつ)しかお一人で立ち寄られるようになり、真剣な面持ちでシヨウヰンドウの中を覗き込まれるようになりました。  ケヱキにパイ、ワップル、マカロンにサブレ、キャラメル。  目移りするご様子がお可愛らしかったこと。  本当に、(この)世は無数の選択肢に溢れてございますね。
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