悠久の歌姫

16/50
前へ
/50ページ
次へ
「じゃあ、いきなり本番でも大丈夫ってことね。ちょっと待って」  目を閉じ、ふーんふんとリズムを取りながら指でギターをトントンと叩く。 「よし、大体できた。後は即興でいってみよう。タイトルは『悠久の歌姫』、いきます」  マスターがパチパチと拍手を始めたので、俺も合わせて両手を叩いた。  ジャーン――歌奈がギターをひと弾きする。  弦が七色に輝き出し、俺の体に音の津波が押し寄せる。  まるで大海原にザブンと投げ込まれたような錯覚を抱いた。青い波がゆらゆらと揺らぐ海中に浮かぶ歌奈の姿。  弦を大きく弾くと彼女の体から黄金色のオーラが溢れ出した。  覚えているかい、あの夏の日  虹の弦を渡したんだ  あなたは奏でる、青い空を  あなたは歌う、眩しい日差しを  すべての闇を焦がすように    その音は風に乗り、街を(ふる)わす  その歌は光を放ち、地球(ほし)を照らす  Eternal Diva  あなたの想いが世界を(いろど)る  あなたの笑顔が、未来を変える……
/50ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加