悠久の歌姫

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「うーん、俺は難しいことはよく知らない。ただ未来からの贈り物だよ」 「あのね、そのキザなセリフ、恥ずかしいんですけど。でも素敵な切り口ね、結構うれしい」  時計を眺める……二時間過ぎたな、そろそろ時歴介入が切れる。 「歌奈、気分転換できたみたいだし、病院に戻ろうか」 「えー? まだいいじゃん。せっかくだから、もう少し弾いていきたいし」 「俺さ、この後宿題が溜まってるんだ。帰ったらやることが多くて……」 「付き合い悪い! じゃあ、また外出許可出た時、来てよ? 今度はご飯でも食べようよ」 「君が覚えていたらね」 「大丈夫約束する、覚えているから。どこがいいかな?」 「……あの、一応うちも喫茶店ではあるけど、料理も自慢なの知ってるかな?」マスターが苦笑いながら、メニューをちらりと見せてきた。 「あ、そうだった、ここの焼きカレーは絶品だったよね。じゃあまた今度、ここで食事しよう。次はいつになるかな……」  歌奈がギターを片付けている間に会計を済ますことにした。「マスター、ご馳走様」 「彼女は未来がある大切な子だからね、守ってあげてよ」 「……? あ、はい」 「おまたせ。マスター、またね」  歌奈が手を振りながら喫茶店を出ると、マスターも軽く手を上げ、俺のほうをチラリと見やった。  外に出ると、だいぶ日は傾いていたが、歌奈の白い肌にはまだ刺激が強いかもしれないと思った。 「かなり張り切っていたけど、体のほうは大丈夫?」 「全然平気、それどころかすごく調子が良くなった。この弦のおかげかもしれない」ポンとギターケースを叩いた。
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