38人が本棚に入れています
本棚に追加
「うーん、俺は難しいことはよく知らない。ただ未来からの贈り物だよ」
「あのね、そのキザなセリフ、恥ずかしいんですけど。でも素敵な切り口ね、結構うれしい」
時計を眺める……二時間過ぎたな、そろそろ時歴介入が切れる。
「歌奈、気分転換できたみたいだし、病院に戻ろうか」
「えー? まだいいじゃん。せっかくだから、もう少し弾いていきたいし」
「俺さ、この後宿題が溜まってるんだ。帰ったらやることが多くて……」
「付き合い悪い! じゃあ、また外出許可出た時、来てよ? 今度はご飯でも食べようよ」
「君が覚えていたらね」
「大丈夫約束する、覚えているから。どこがいいかな?」
「……あの、一応うちも喫茶店ではあるけど、料理も自慢なの知ってるかな?」マスターが苦笑いながら、メニューをちらりと見せてきた。
「あ、そうだった、ここの焼きカレーは絶品だったよね。じゃあまた今度、ここで食事しよう。次はいつになるかな……」
歌奈がギターを片付けている間に会計を済ますことにした。「マスター、ご馳走様」
「彼女は未来がある大切な子だからね、守ってあげてよ」
「……? あ、はい」
「おまたせ。マスター、またね」
歌奈が手を振りながら喫茶店を出ると、マスターも軽く手を上げ、俺のほうをチラリと見やった。
外に出ると、だいぶ日は傾いていたが、歌奈の白い肌にはまだ刺激が強いかもしれないと思った。
「かなり張り切っていたけど、体のほうは大丈夫?」
「全然平気、それどころかすごく調子が良くなった。この弦のおかげかもしれない」ポンとギターケースを叩いた。
最初のコメントを投稿しよう!