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「どうすんべーレポート……」
「博物館の説明文、多少語尾変えてもすぐバレるよなー」
「ですよねー」
「でもって同じく丸写しした奴らが揃ってバッテン食らう未来が見えーる……」
「デスヨネー」
「……此処が最後の頼みの綱だったのに」
「ほんとそれね……」
クライヴは親友のヴィクターと共に、博物館にか飾られている神様の像の前で深く深くため息をついたのだった。
この博物館は、町で唯一神様の像が設置されている場所である。お祈りのための場所ではないからいいだろう、という名目で神父さんからも設置を許してもらえたということらしい。設置されているのは知っていたが、そもそも博物館というものに縁がなかった勉強嫌いのクライヴは、今日初めて実際の像を目にすることになったのだった。
鳥だ、と思っていた神様の像は。実際には屈強な男性の体をしていた。
ただし、頭は大鷲のような姿の鳥で、背中にも立派な鷲のような翼が生えている。色はわからない。唯一博物館にある像は銅像で、色が塗られているものではなかったからだ。
その手には、大きな杖のようなものが握られていて、鷲頭の目はまっすぐ空の高い場所を見つめているように思われた。半分鳥で半分人間。だからスカイフォースという名前なのだろうか。吹き抜けに佇む巨大な像は、子供のクライヴとヴィクターの身長を二人分合わせてもまだ届きそうにないほど大きかった。屈強な男の足元には、千年前に神様を見た人の文献の一部と神様の足跡のレプリカ、それからそれらの解説文が記載されている。
「……イラスト描いて誤魔化すとかナシかな」
クライヴはぼそっと呟いた。
「俺、文章より絵描く方が得意なんだけど。この神様の姿と足跡スケッチしてったら、レポート一枚分くらいはなんとか埋められそう……ていうか神様足でっけーな」
神様の足跡レプリカは、金属板をへこませる形で形成されていた。形そのものは、人間の足とそうそう変わらない。土踏まずがちょっと広めなんだなとか、親指ががっしりしてるなーといったくらいの感想だ。
驚くべきはそのサイズ。神様の像そのものも大きいが、それと比較しても足がかなり大きめなのだ。思わず自分の足を持ち上げて見比べてしまった。いったい自分の足の裏が何個分入ってしまうことだろう。五つ?六つ?――いや、もっと入りそうだ。
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