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「びびったー、新しい宗教のお祈りのポーズかなんかかと思った」
そう言いながら、息吹は鼻先までぐるぐる巻いていたマフラーをはずし、こたつに潜り込んだ。髪は相変わらずの金髪だ。耳には、それもトレードマークの、いくつものピアス。
「そんなトンチキな宗教あるかよ」
「どっかの国になかった? ぐるぐる回転しながらお祈りするの」
「それで叶えられるのは願い事じゃなくて三半規管の強化だけだろ」
言い捨てると、息吹はふっと笑った。俺も笑った。話の内容より、こういう会話のテンポが別段気を遣わなくてもぴったり合うという心地よさに。
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