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"なあ、和平"
"どうしたプレシ、珍しいな、声を掛けてくるなんて。何かあったのかい?"
"おいおい、何かあったのかい、じゃないだろう。何かあったのは、君の方だろう"
"ハハッ、確かにそうだね"
"怖くないのか?"
"怖くないことはないよ。だって右腕だからね"
"どういうことだい?"
"君たちにどんな影響が出るかわからないし、もう以前の火傷のような奇跡は起きないだろうしね"
"僕たちに影響はないよ。そこは安心して欲しい"
"そっか、なら良かった。安心して手術を受けられるよ"
"和平"
"なんだい"
"僕たちも全力でサポートする"
"ああ、期待しているよ"
"ただ……"
"ただ?"
"今回、いつものように僕が君の右手を操作して手術することができない。僕は何の役にも立てない"
"ああ、確かにそうなるか"
"だから、僕もみんなを信じる。和平、お前と一緒にみんなを、奇跡を信じる"
そう言って、プレシは気配を消した。そうだよな、僕の右手で僕の右肩の手術はできないものな。それでも、ありがとう。プレシのその気持ちだけでも嬉しいよ。一緒に仲間を信じよう。
そうして様々な術前検査を終え、手術当日の朝を迎えた。
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