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"おい、ボイス。このあたり、組織に避けられるか聞いてもらえないか"
"わかった。ねぇ、この辺りにいる元気な細胞さんたち。少し避けられるかしら"
タックの隣にワンレングスの女の子、ボイスが声を掛けている。すると、タックの触れているあたりがより一層紫に近い色に変わる。
"OKよ、和平、じゃなかった。浅村、亜希子"
「岡田先生、この辺りいけそうですよ」
浅村先生がタックが指差しているあたりを、岡田先生に示している。
これが、タックにボイスの姿なのか。まるで小人のようだ。今まではキラキラとしか見えなかったのに、今日ははっきりと視認できるし、声も聞こえる……すっごく嬉しい。そう浅村先生は感激していた。
「おお、本当だ。さすが、浅村先生」
タックが癒着などが疎な部分を探して、ボイスが細胞に声掛けをすることで、アプローチしやすい箇所を浅村先生が指摘して、岡田先生が順調に手術を進めていく。
そんな順調な中、
"ちょっと待って。何か変な音するよ"
「どうした、ヒア?」
そう浅村先生が口にした瞬間、プシュッと音を立てて出血が始まった。
「くっ、何か血管を傷つけたか」
"僕が行く"
「セサク、頼む。僕らも出血を止める」
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