8人が本棚に入れています
本棚に追加
届いていたのは個人宛のダイレクトメッセージだった。Zoomにそんな機能があるなんて知らなかったから、驚いた。でももっと驚いたのは、その差出人が志築くんだってこと!
『新川さん、久しぶり! 元気だった?』
顔を上げるとビデオカメラ越しに、志築くんがニコニコと微笑んでいる。みんなに見えている表情だけど、きっとそれは私に向けられた笑顔なのだ。
『元気だよ。志築くんも変わりない? それから、ポラリス、持っていてくれてありがとう!』
『こちらこそありがとう。ちゃんと宝物だよ。このポラリスは』
どうしよう。胸が苦しい。嬉しくてたまらない。
北極星は二年前と変わらない姿でZoom越しに浮かんでいた。
『久しぶりに顔が見れて嬉しいけど、みんなの前じゃ、いろいろ話すのも難しいよね』
『だねー。いっぱい北海道の話とか聞きたいんだけど〜』
『もし良かったら、新年会終わってから、二人でZoom繋ぎ直して喋ったりする? 時間大丈夫なら?』
『うん、じゃあ後で!』
思わずカメラ枠の外でガッツポーズ。やっぱり志築くんは優しいし、かっこいい。スマートフォンにぶら下がったストラップの先についた星型のアクセサリーを指先でもてあそぶ。ノートパソコンから顔を上げて、窓ガラスから夜空を眺める。
その方角、はるか遠くに志築悠真くんがいて、私たちは今、WEB越しに繋がっている。もしかしたら遠距離でも、好きでい続けても――大丈夫なのかも? こうやって会えるなら。
二年ぶりに顔を合わせて話す志築くんとの時間。どんなことを喋ろうかな? 何を伝えようかな? 志築くん、今は私のこと、どう思っているのかな?
北向きの窓ガラスから空を見上げる。
そこにはやっぱり北極星が浮かんでいた。
最初のコメントを投稿しよう!