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それから姉妹は
揃いの兎の襟巻を買ってもらいました。
大人の間で流行った狐の襟巻をまねて
ガラスの目と尖った口が付いていて、
自分のしっぽを
咥えるように留めるのです。
兎の毛皮はいろんな色に染められて
店先にぶら下がっているのを
姉妹はそれぞれ好きなものを選びました。
女学校に上がっている登世子はきつね色、
栄依子は黒、トシ子は白、
3歳の昌子はピンク色を選びました。
それぞれ、振袖の襟もとに巻いて
首の脇に
狐の顔がちょこんと来るように留めましたが
栄依子だけは
狐の顔を肩の上に後ろを向く様に乗せ
尻尾を背中に垂らしました。
「へえ、洒落てるわ
栄依子はどこか
人と違うことがしたいんだわね」
ワカが笑います。
お参りも買い物を終わったら食事です。
浅草ですき焼きを食べるか
松屋デパートまで歩いて
洋食を食べるのです。
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