尾久の栄依子ちゃんシリーズ 栄依子ちゃんのお正月

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「今日はすき焼きにしよう」 藤平の一声で、今年初の外食は 浅草寺境内わきの「米久(よねきゅう)」で すき焼きを食べることになりました。 浅草は、明治維新早々から 牛鍋屋の多いお土地柄。 人形町に肉屋の本店がある「今半(いまはん)」 雷門の右側に高級すき焼き店を直営していましたし 雷門の左側には、もう少し大衆的な「ちん屋」。 広大な大座敷に座卓が並んでいて壮観でした。 一番庶民的な、すき焼き屋は「米久」です。 正確にはすき焼きではなくて牛鍋。 ヨネキュウは、 今は全国規模の食肉メーカーになりましたね。 栄依子の家は、もちろん庶民的な米久の大座敷で 藤平、ワカ、四姉妹 牛鍋を囲んで、たらふく食べ また円タクで、尾久に帰ってくるのでした。 ところで、総領息子の敏夫は…というと 家族でぞろぞろ出かけるのを嫌がって お年玉で好きな本を買って 誰もいない静かな家で 勝手気ままに過ごすのが好きなので 絶対に、ついてこないのでした。
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