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(えっ?
あれが美澄?
美澄の火傷ってこんなにもひどかったの?)
朋子は火傷でただれてしまった美澄の顔を見て、声には出せずに、心の中でそう思った。
(里山高校で一番キレイだった美澄なのに、こんなのってないよ……。
これじゃ、美澄がかわいそう。
美澄の火傷の跡はもう消えない……)
美澄はゆっくりと階段を下りてきて、制服姿の朋子の前で立ち止まった。
そして美澄は少し顔を隠すようにうつ向いて、つぶやくような小さな声で朋子に話しかけていた。
「ビックリした? 朋子……。
事故のせいで、変わっちゃった……。
もう元には戻れないよ」
少しぎこちなく顔をひきつらせていた美澄の姿が痛々しかった。
そこにはいつも明るく笑っていた美澄はいなかった。
そこにいるのは後悔と絶望を胸の中にしまい込んだ自信なさげな顔がただれた女の子だ。
里山高校のみんなは美澄のこんな姿をまだ知らない。
みんながこんな美澄を見たとき、どんなことを思って、どんな反応をするのだろうと考えたとき、朋子の心がチクリと痛んだ。
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