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(私は朋子なんかに剛志君を渡さない。
ずっと大好きだった剛志君を渡さない!)
美澄は憎しみのこもった目を見開き、振り上げたナイフを朋子の右肩に振り下ろした。
そして美澄が振り下ろしたナイフは朋子の右肩に深々と突き刺さり、朋子は右肩を刺された激痛で、校舎中に響くような悲鳴を上げていた。
美澄は朋子の悲鳴を聞くと、サディスティクな笑みを浮かべ朋子の右肩に刺さったナイフを引き抜いた。
朋子が激痛に顔を歪めながら背後にいる美澄に目を向けると、返り血を浴びた美澄が不気味に笑い、殺意のこもった目で朋子を見ていた。
朋子はどうして自分が殺されるほどに憎まれているかもわからずに、また右足を引きずりながら懸命に長い廊下を走り出した。
早く誰かに助けを求めなくてはいけないのに、右の太ももにケガを負っている今、歩き慣れているこの廊下がやたらたと長く感じられた。
朋子は心の中で「誰か助けて!」と、叫び続けていたが、誰もいない校舎の中で、朋子のピンチに気づいてくれる人はいなかった。
死への不安と恐怖だけが朋子の心の中で膨れ上がり、朋子は悪夢のような現実に泣き出しそうになっていた。
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